外食|No.00 外食の地図

外食8社の「稼ぐ力」を比べてみた

2026年11月読む時間 約4分主要8社の決算短信から
3行でいうと
  1. 外食8社の営業利益率は3.6〜12.8%。多くは3〜7%に集まる。
  2. マクドナルドだけが12.8%と飛び抜け、2位の約1.5倍。
  3. 同じ業態でも差が大きい。差は業態より、会社ごとの稼ぎ方から来ていそう。

業態ごとに並べてみた

外食の業界を見ていくにあたって、まず全体の地図をつくりたい。ハンバーガー、回転寿司、カレー、ファミレス、牛丼、うどんと、業態の違う主な外食チェーン8社を選び、最新の1年分の決算短信から数字を集めた。

比べたのは「営業利益率」。売上から、材料費や人件費、家賃などを払ったあとに、本業のもうけとして残る割合だ。たとえば12.8%なら、お客さんが1,000円払うごとに約128円が会社に残る。金額ではなく割合なので、売上1兆円の会社と600億円の会社でも同じ物差しで比べられる。

外食は、料理の材料、店で働く人、店を借りる家賃と、売上のたびに出ていくお金が大きい商売だ。そのため、売上のうち手元に残る割合はもともと小さい。その中で、どの会社がどれだけ残せているかを並べたのが図1だ。

図1 営業利益率(業態別)単位:%

会社全体の数字(ほかの業態・海外の店も含む)。決算期は2025年9月期〜2026年8月期で会社ごとに違う。
※1 国際会計基準(IFRS)の会社。
※2 点線とかっこ内は、減損損失などを引く前の利益(事業利益)で見た場合。

上から順に見ると、ハンバーガーのマクドナルドが 12.8%、回転寿司のスシローが 8.4%、カレーのCoCo壱番屋が 7.2%。そのあとに、ファミレスのすかいらーく(6.5%)、牛丼のすき家などを持つゼンショー(6.4%)、ファミレスのサイゼリヤ(5.4%)が続く。いちばん低いのは、うどんのトリドール(3.8%)と牛丼の吉野家(3.6%)だった。

マクドナルドは2位の1.5倍

目立つのはマクドナルドだ。2位のスシロー(8.4%)と比べても、マクドナルド(12.8%)は約1.5倍になる。残る6社は3〜7%台に並び、だいたい売上100円につき3〜7円が残る世界だ。

同じ業態の中でも差がある。牛丼では、すき家などのゼンショーが 6.4%、吉野家が 3.6% で、2倍近く違う。ファミレスでも、すかいらーくとサイゼリヤで1ポイント以上の差がある。

丸亀製麺のトリドールは 3.8% だが、これは海外の店などの価値を帳簿上で下げた分(減損損失)を引いたあとの数字だ。引く前の「事業利益」で見ると 7.7% で、上位グループに入る。数字1つだけで判断すると見誤る例になる。

分かったこと

業態で利益率が決まるわけではなかった。同じ牛丼でも、ゼンショーと吉野家で3ポイント近く違う。差は業態よりも、会社ごとの稼ぎ方から来ていそうだ。

たとえばマクドナルドの高さは、No.01で詳しく調べた。店の多くを加盟店に任せる「フランチャイズ」の仕組みが大きく効いていて、加盟店も含めたチェーン全体の売上で割ると6.0%になる。営業利益率だけで並べると、こうした稼ぎ方の違いが見えにくい点には注意がいる。

伸び・安全さも並べる

利益率だけでは会社の姿は分からない。売上の伸びと、借金の少なさ(自己資本比率)も並べた。

表1 外食8社の基本の数字
会社決算期売上
(億円)
売上の
伸び
営業
利益率
自己資本
比率
マクドナルド25年12月4,166+2.7%12.8%77.0%
スシロー ※125年9月4,295+19.0%8.4%24.0%
CoCo壱番屋26年2月655+7.4%7.2%67.0%
すかいらーく ※125年12月4,577+14.1%6.5%36.2%
ゼンショー26年3月12,640+11.2%6.4%35.5%
サイゼリヤ26年8月3,014+17.4%5.4%64.2%
トリドール ※126年3月2,787+3.9%3.8%29.9%
吉野家26年2月2,256+10.1%3.6%54.5%

売上は億円未満を切り捨て。※1 はIFRSの会社で、自己資本比率は「親会社所有者帰属持分比率」の値。

まず売上の伸び。前の年と比べて大きく伸びたのは、スシロー(+19.0%)、サイゼリヤ(+17.4%)、すかいらーく(+14.1%)だった。マクドナルドは +2.7% と伸びは小さいが、決算短信によると営業利益は10.9%増えている。売上の伸びと利益の伸びは、必ずしも一致しない。

次に自己資本比率。会社の資産のうち、借金ではないお金の割合で、高いほど借金が少なく安全だと言える。マクドナルド(77.0%)、CoCo壱番屋(67.0%)、サイゼリヤ(64.2%)は高く、借金にあまり頼っていない。

利益率が高い会社ほど自己資本比率も高い傾向が少し見える。ただしスシローは、利益率が2位なのに自己資本比率は8社で最も低い 24.0% だった。借金をして店を増やしたり、ほかの会社を買ったりしている可能性があるが、ここはまだ調べていない。

比べるときの注意

自分の理解の穴

この号で出てきた言葉

営業利益率
営業利益 ÷ 売上。売上のうち、本業のもうけとして残る割合。
自己資本比率
会社の資産のうち、借金ではないお金の割合。高いほど借金が少ない。
減損損失
もうからなくなった店などの価値を、帳簿の上で下げたときの損。現金が出ていくわけではない。
事業利益
IFRSの会社が独自に出す利益。売上から原価と販売費・一般管理費を引いたもので、日本の基準の営業利益に近い。
IFRS(国際会計基準)
国際的な決算書のルール。日本の会社も選べる。日本の基準とは利益や現金の数え方が一部違う。
これが最初の号です 次の号 No.01 →マクドナルドは、なぜ外食で一番稼げるのか
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出典:各社の決算短信(最新の通期)。 日本マクドナルドHD、 FOOD & LIFE COMPANIES、 壱番屋、 すかいらーくHD、 ゼンショーHD、 サイゼリヤ、 トリドールHD、 吉野家HD
この記事は、学びながら書いている勉強ノートです。投資の判断に使うものではありません。数字の間違いに気づいたら教えてください。