外食8社の「稼ぐ力」を比べてみた
- 外食8社の営業利益率は3.6〜12.8%。多くは3〜7%に集まる。
- マクドナルドだけが12.8%と飛び抜け、2位の約1.5倍。
- 同じ業態でも差が大きい。差は業態より、会社ごとの稼ぎ方から来ていそう。
業態ごとに並べてみた
外食の業界を見ていくにあたって、まず全体の地図をつくりたい。ハンバーガー、回転寿司、カレー、ファミレス、牛丼、うどんと、業態の違う主な外食チェーン8社を選び、最新の1年分の決算短信から数字を集めた。
比べたのは「営業利益率」。売上から、材料費や人件費、家賃などを払ったあとに、本業のもうけとして残る割合だ。たとえば12.8%なら、お客さんが1,000円払うごとに約128円が会社に残る。金額ではなく割合なので、売上1兆円の会社と600億円の会社でも同じ物差しで比べられる。
外食は、料理の材料、店で働く人、店を借りる家賃と、売上のたびに出ていくお金が大きい商売だ。そのため、売上のうち手元に残る割合はもともと小さい。その中で、どの会社がどれだけ残せているかを並べたのが図1だ。
会社全体の数字(ほかの業態・海外の店も含む)。決算期は2025年9月期〜2026年8月期で会社ごとに違う。
※1 国際会計基準(IFRS)の会社。
※2 点線とかっこ内は、減損損失などを引く前の利益(事業利益)で見た場合。
上から順に見ると、ハンバーガーのマクドナルドが 12.8%、回転寿司のスシローが 8.4%、カレーのCoCo壱番屋が 7.2%。そのあとに、ファミレスのすかいらーく(6.5%)、牛丼のすき家などを持つゼンショー(6.4%)、ファミレスのサイゼリヤ(5.4%)が続く。いちばん低いのは、うどんのトリドール(3.8%)と牛丼の吉野家(3.6%)だった。
マクドナルドは2位の1.5倍
目立つのはマクドナルドだ。2位のスシロー(8.4%)と比べても、マクドナルド(12.8%)は約1.5倍になる。残る6社は3〜7%台に並び、だいたい売上100円につき3〜7円が残る世界だ。
同じ業態の中でも差がある。牛丼では、すき家などのゼンショーが 6.4%、吉野家が 3.6% で、2倍近く違う。ファミレスでも、すかいらーくとサイゼリヤで1ポイント以上の差がある。
丸亀製麺のトリドールは 3.8% だが、これは海外の店などの価値を帳簿上で下げた分(減損損失)を引いたあとの数字だ。引く前の「事業利益」で見ると 7.7% で、上位グループに入る。数字1つだけで判断すると見誤る例になる。
分かったこと
業態で利益率が決まるわけではなかった。同じ牛丼でも、ゼンショーと吉野家で3ポイント近く違う。差は業態よりも、会社ごとの稼ぎ方から来ていそうだ。
たとえばマクドナルドの高さは、No.01で詳しく調べた。店の多くを加盟店に任せる「フランチャイズ」の仕組みが大きく効いていて、加盟店も含めたチェーン全体の売上で割ると6.0%になる。営業利益率だけで並べると、こうした稼ぎ方の違いが見えにくい点には注意がいる。
伸び・安全さも並べる
利益率だけでは会社の姿は分からない。売上の伸びと、借金の少なさ(自己資本比率)も並べた。
| 会社 | 決算期 | 売上 (億円) | 売上の 伸び | 営業 利益率 | 自己資本 比率 |
|---|---|---|---|---|---|
| マクドナルド | 25年12月 | 4,166 | +2.7% | 12.8% | 77.0% |
| スシロー ※1 | 25年9月 | 4,295 | +19.0% | 8.4% | 24.0% |
| CoCo壱番屋 | 26年2月 | 655 | +7.4% | 7.2% | 67.0% |
| すかいらーく ※1 | 25年12月 | 4,577 | +14.1% | 6.5% | 36.2% |
| ゼンショー | 26年3月 | 12,640 | +11.2% | 6.4% | 35.5% |
| サイゼリヤ | 26年8月 | 3,014 | +17.4% | 5.4% | 64.2% |
| トリドール ※1 | 26年3月 | 2,787 | +3.9% | 3.8% | 29.9% |
| 吉野家 | 26年2月 | 2,256 | +10.1% | 3.6% | 54.5% |
売上は億円未満を切り捨て。※1 はIFRSの会社で、自己資本比率は「親会社所有者帰属持分比率」の値。
まず売上の伸び。前の年と比べて大きく伸びたのは、スシロー(+19.0%)、サイゼリヤ(+17.4%)、すかいらーく(+14.1%)だった。マクドナルドは +2.7% と伸びは小さいが、決算短信によると営業利益は10.9%増えている。売上の伸びと利益の伸びは、必ずしも一致しない。
次に自己資本比率。会社の資産のうち、借金ではないお金の割合で、高いほど借金が少なく安全だと言える。マクドナルド(77.0%)、CoCo壱番屋(67.0%)、サイゼリヤ(64.2%)は高く、借金にあまり頼っていない。
利益率が高い会社ほど自己資本比率も高い傾向が少し見える。ただしスシローは、利益率が2位なのに自己資本比率は8社で最も低い 24.0% だった。借金をして店を増やしたり、ほかの会社を買ったりしている可能性があるが、ここはまだ調べていない。
比べるときの注意
- 決算期が最大で約1年ずれている。
- IFRSの3社は利益の数え方が少し違う。とくに営業キャッシュフローは、店の家賃の支払いを別の欄に入れるため大きく見える。そのため表1には入れていない。
- 自己資本比率が低いからといって危ないとは限らない。借金で店を増やしたり会社を買ったりして伸びている会社もある。
自分の理解の穴
- マクドナルドだけが、なぜここまで飛び抜けているのか。
- スシローは、なぜ借金が多いのに利益率が高いのか。
この号で出てきた言葉
- 営業利益率
- 営業利益 ÷ 売上。売上のうち、本業のもうけとして残る割合。
- 自己資本比率
- 会社の資産のうち、借金ではないお金の割合。高いほど借金が少ない。
- 減損損失
- もうからなくなった店などの価値を、帳簿の上で下げたときの損。現金が出ていくわけではない。
- 事業利益
- IFRSの会社が独自に出す利益。売上から原価と販売費・一般管理費を引いたもので、日本の基準の営業利益に近い。
- IFRS(国際会計基準)
- 国際的な決算書のルール。日本の会社も選べる。日本の基準とは利益や現金の数え方が一部違う。
この記事は、学びながら書いている勉強ノートです。投資の判断に使うものではありません。数字の間違いに気づいたら教えてください。