お金|No.06

経営とお金は、なにがちがうのか

2026年11月読む時間 約5分お金編のまとめ
3行でいうと
  1. 経営は「事業の中身でお金を生むこと」。お金は「そのお金をどこから集め、どこに使い、いくらと値段をつけるか」。
  2. 決算書の上半分(売上〜営業利益)は経営の成績、下半分(利息、株主のお金、ROE など)はお金の成績。
  3. 2つはつながっているが、両方を同時に手を動かしてやるのは難しい。だから仕事も、手伝う人・やる人・お金の人に分かれている。

きっかけ:経営とお金は、すごく近い気がする

お金編では、ROE、株と借金、ベンチャーのお金、含み益、会社を買う人たちと見てきた。どれも外食編で読んだ「会社の稼ぎ方」とつながっていて、経営とお金はほとんど同じものに思えてくる。では、2つは何がちがうのか。お金編の最後に、ここを整理しておく。

車でたとえると

ひとことで言うと、経営は事業の中身でお金を生み出すこと、お金(財務・投資)は、生まれたお金をどこから集め、どこに使い、いくらと値段をつけるかだ。

図1 経営とお金
経営お金
車でいうとエンジンをよくして、速く走らせる燃料をどこで入れ、どの道を通り、車をいくらで売り買いするか
問いお客さんは誰? 何を売る? どう作る? 人は?株か借金か? どこに投資する? この会社はいくら?
お金編では外食編のフランチャイズ、本社の費用、材料の値上がりROE、株と借金、優先株、含み益、PBR

決算書の上と下で分かれる

おもしろいことに、ここまで読んできた数字を並べると、決算書の「上」と「下」で、2つがきれいに分かれる。

図2 決算書の数字を、2つに分ける
経営の成績お金の成績
売上、営業利益、営業利益率利息など(営業外)、経常利益
原価率、1店あたりの売上自己資本比率、株と借金の割合
事業ごとの利益(セグメント)ROE、配当、自社株買い
営業キャッシュフロー財務キャッシュフロー、株価、PBR

外食の0〜2号で読んでいたのは、ほとんどが左側だった。お金編で読んできたのは右側だ。そして、左で1番の会社が、右でも1番とは限らない。

予想してみよう

営業利益率はマクドナルド12.8%、ゼンショー6.4%。ROE が高いのはどっち?

もちろん、2つは切り離せない。経営がうまくいって利益が出なければ、お金の工夫だけでは長く続かない。逆に、借りすぎや株の渡しすぎのようにお金の使い方を間違えると、経営がよくても会社は苦しくなる。そして お金No.05の PE ファンドは、この2つを両方使う仕事だった。お金で会社を買って、経営で価値を上げる。

仕事も、2つの側に分かれている

経営とお金のそれぞれに、「手伝う人」と「自分でやる人」がいる。並べると、ビジネスの仕事の地図になる。

図3 経営とお金の仕事
手伝う人自分でやる人
経営戦略コンサル経営者
お金投資銀行ファンド(PE、アクティビストなど)、会社の財務の責任者

戦略コンサルが「経営の相談に乗る人」なら、投資銀行は「お金の相談に乗る人」だ。どちらも手伝う側で、自分のお金のリスクは負わない。

両方分かることと、両方やること

これだけ結びついているなら、1人で両方の専門家になればいいのでは、とも思う。段階を分けると、できることとできないことが見えてくる。

投資家のウォーレン・バフェットは、事業をする人だから投資がうまくなり、投資をする人だから事業がうまくなった、という意味のことを言っている。両方分かることは、それだけで大きな強みになる。ただ、そのバフェットも、会社の日々の経営はそれぞれの経営者に任せている。一番強いのは、「1つを深く、もう1つも分かる」形なのだと思う。

お金編で学んだこと

お金編の6号をまとめると、こうなる。

外食編で見た「稼ぎ方」が経営の話だとすれば、お金編は、その稼ぎ方に市場がどう値段をつけるかの話だった。次に業界を読むときは、決算書の上半分だけでなく、下半分も一緒に読んでいく。

自分の理解の穴

この号で出てきた言葉

財務
会社のお金の集め方・使い方・返し方を考えること。
セルサイド・バイサイド
セルサイドは、投資銀行など会社や投資家を手伝う側。バイサイドは、ファンドなど自分で投資する側。
CFO
会社のお金まわりの最高責任者。
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出典:営業利益率と ROE は、日本マクドナルドHD 2025年12月期・ゼンショーHD 2026年3月期の決算短信から。仕事の分け方は一般的な考え方による。
この記事は、学びながら書いている勉強ノートです。投資の判断に使うものではありません。間違いに気づいたら教えてください。